Non-violent Communication のススメ
こんにちは。コーチングオフィスMISSIONの浅川孔明です。
今年も残りわずかですね。やり残しなく、気持ちよく今年を終えられるよう1日1日を過ごしていきたいです。
今日は、「Non-violent Communication-非暴力コミュニケーション」についてご紹介していきたいと思います。
この、Non-violent Communication、略して「NVC」と呼ばれ、「empathy(エンパシー):共感」を核としたコミュニケーションです。
今の時代、これからの時代に必要となる要素だと思います。ぜひ一緒に観ていきましょう。
目次
Non-violent Communication とは
Non-violent Communication(以下、NVC)、非暴力コミュニケーションは、マーシャル・ローゼンバーグが、人はどのようにコミュニケーションをとれば、人を思いやろうとする気持ちを引き出せるか、心の底から与えることができるか、自分自身を理解し、相手と理解しあえるか、を研究し、たどり着いたコミュニケーションの方法です。
マーシャルローゼンバーグは、カール・ロジャースに薫陶を受けて、一緒に研究や実践を行っていることから、NVCにおいて「empathy(エンパシー)/共感」が重要であるのも、ロジャースの影響が大きいのだと思います。
NVCには、以下の重要な4つの要素があります。
1、観察 observation
2、感情 feeling
3、必要としていること needs
4、要求 request
そして、これらのことを、
・自分から4つの要素を率直に表現する
・相手からの4つの要素を共感をもって受け止める
ということを行います。
これという決まり切った型があるわけではなく、その場その場での状況や個人的、文化的スタイルに適応させながら進めていきます。
また、言葉によることに限らず、言葉を使わずに4つの要素を経験することも可能です。
NVCの重要な本質は、「4つの要素を自覚する」ということにあります。
4つの要素
1つめの要素、観察(observation)について、
これは、状況をよく観察してみよう、ということです。人が行った行為、起こった出来事、それが自分にどういう影響を及ぼしているか、それらを、「評価判断することなく」述べてみること、です。ポイントは「評価判断をしない」という点です。自分のフィルターはいったん脇に置いておきましょう。
2つめの要素、感情(feeling)について、
これは、それらの行為や出来事によって、自分がどのような感情を抱いたか、どう感じたかを述べます。日本人は、思考と感情がごっちゃになって区別できていない傾向が多いように感じます。
感情は、嬉しい、悲しい、イライラする、悔しい、傷ついた、などです。
語尾を、「○○と感じた」か「○○と考える」、どちらを付けると自然かを考えると、「思考」か「感情」か判断しやすくなると思います。
3つめの要素、必要としていること(needs)について、
これは、2つめの感情が、「自分が何を必要としているからその感情が生み出されたか」、を明確にすること、です。
この感情に繋がっている理由、自分が本当に欲しがっているもの、望んでいるもの、を自分の中を辿って観ていきます。
ここまでの3つの要素が非常に重要になっています。
ここまでが大変で、くり返しくり返し、根気強く練習をしていくことが必要だと思います。
4つめの要素、要求(request)は、相手に、自分が望んでいることを相手に具体的な行動をリクエストする、ということです。
ポイントとしては、「リクエスト」なので、「○○してもらえますか?」という点です。
強制ではないので、提案の形を意識するといいかと思います。
あくまでも、それをやるかやらないか、の決定権は相手に委ねましょう。
リクエストの前までに、自分がいまこういう気持ちで、本当はこれを望んでいて、ということを伝えているので、「だからあなたにこうしてもらえると嬉しい」が相手により届きやすくなります。
これが4つの要素になります。
先にも書いたように、個人的には、最初の3つの要素が本当に重要なプロセスで、4つめのリクエストは、しなければならない、というわけではなく、したかったらすれば良い、必要があればすれば良い、と個人的には思っています。
もう少し言うと、自分の中にどういうニーズがあって、それがどういう感情に繋がって、自分はこういう反応や行動を起こしているのか、を自覚すること、自分自身を知ること、がとても重要なことになります。
そのために大事な要素となってくるのが「empathy(エンパシー)/共感」です。
エンパシーとは
このブログでも、「共感」については何度か触れていますが、ここでは、私がNVCのワークショップに参加したときに非常に興味深く感じた「エンパシー、共感」についてご紹介したいと思います。
エンパシーには、次の2つの共感があります。
それは、「自己共感」と「他者共感」です。
そして、
自己共感・・・自分を観察 → 自分の感情を感じる → ニーズに辿りつく
他者共感・・・相手が相手自身の中にあるニーズに辿り着けるように関わること
すこし分かりにくいでしょうか。
エンパシーの本質は、単に相手に「うんうん、そうだよね。そう感じるよね」ということにあるのではなく、
自分と相手との質感は違うけれど、自分の中にも相手の中にも同じニーズが「在る」、という「在る」の部分で繋がること、「ニーズに繋がる支援」こそが「共感」ではないか、ということでした。
大変面白い視点だと思います。確かに、私たちは自分の感じている感覚と他人の感覚が同じかどうかは確認することが不可能であって、本当の意味で同じものを感じることはできません。
ですが、あなたのなかに「愛されたい」があるのかぁ。私の中にも「愛されたい」はあるよなぁ。と同じニーズが「在る」ことを「共に感じ」て繋がることは可能です。
では、そのための具体的な方法は、どうしたらいいのでしょうか。
それは、「リフレクション」や「バックトラック」といった技術を活用していきます。
これは、相手の言ったことを、オウム返ししてあげる方法です。
「どうかしたのですか?」に対して、
「○○が✕✕して、△△になってしまったんです。」が出てきたら、
「そうなんですね、○○が✕✕して、△△になってしまったんですね?」
と返してあげます。
「どう感じたんですか?」に対して、
「そのとき、私は○○な気持ちでした」が出てきたら、
「そのときあなたは、○○な気持ちを感じたんですね?」
と返してあげます。
「その感情になったのは、本当は何が欲しかったからだろう?」に対して、、
以下、略します。
相手から出たものをそのまま返してあげることによって、
相手は「そうだな」と思ったら「そうですね」などと納得が返ってきます。
「ちがうな」と思ったら、「いや、やっぱりもっと✕✕だったかもしれません」などと返ってきます。
これを繰り返していって、
「そう!私があのとき本当に欲しかったもの(ニーズ)は『安心』だったの!!」
といった感じで、ニーズまで辿り着いていきます。
この視点での「共感」を持ってみると、それまでとまた違った感覚で自己理解や相手を理解できるようになるかもしれません。
Non-violent Communication の可能性
これまでご紹介してきたNVCは、「自分の内と外に平和をつくりだす」、とあります。
非暴力コミュニケーションの名の通り、
争いから平和へ、
分離から統合へ、
イチかゼロか、良いか悪いか、を超えて、
これもあるよね、あれもあるよね、すべてに価値がある、という全体性で私たちが生きていける可能性を秘めています。
感情やニーズに繋がって生きる、ということは、いのちに繋がって生きるということ。
私たちは、この重要な「感情」の扱い方を、成長する過程で教わる機会がほとんどありません。
内なるエネルギーに繋がって生きる大切さ、可能性をぜひ感じてもらえたらと思います。
いかがでしたか?
みなさんのなかで気になった部分はありましたか?
何か一つでも自分の人生のヒントに持ち帰ってもらえたら嬉しいです。
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